ちまちま織り工房

織ることが好きです。草木で染めること、羊毛を紡ぐこと、縫うこと、編むこと、作ることいろいろを楽しんでいます。

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『Textile in Sweden2 瀬崎道子織展』にお邪魔してきました。
お教室の先生と、生徒さんの有志合わせて7人で。
場所は、三重県は湯の山温泉の近くのパラミタミュージアムです。
初めてお会いする、織り作家・瀬崎道子さんは、とても気さくで、さくさくしてて、気取らない、すてきな方でした。

おいしいお昼ご飯をいただいて、おなかが満足したところで、目と心を満足させるべく、ミュージアムへ。
招き入れられた、瀬崎さんの作品が並ぶ小ギャラリーは、何ともステキな空間でした。

静かなたたずまいの小ギャラリー入口で出迎えてくれたのは、モネの『睡蓮』をイメージしたという作品。
大きくて華やかで、ため息が出るばかり…。

モネの睡蓮をモチーフに 睡蓮の花の拡大


両みみをピンクで染めた白いテープが、ノッティングのような技法で結びつけられて花びらになっています。
そしてその中に、ピンクの糸が植え込まれて、華やかさをいっそう増しています。
ぱっと見には、ランダムに散らされたような糸ですが、実は緻密な計算に基づいて、植え込まれています。
作品データや設計図を見せていただいて、驚きました。
織りって、織りって、ここまで極めると、数学の世界なんですね…。

瀬崎さんは、作品データの入った分厚いファイル片手に、それは丁寧に、作品一つ一つについて、説明して下さいました。
イメージを実物にするために、こだわったこと、工夫したこと。
うつくしく仕上げるために、何を心がけたか。
イメージから実物にするまでの試行錯誤、試作の繰り返しのお話には、圧倒されるばかりでした。
「こだわる」って、つまり、こういう姿勢のことなんだ…って、背筋がピンと伸びる感じでした。

ギャラリーの大きな壁に、男の人5、6人分くらいの大きさのタペストリーがかけられていました。
今回の、メイン作品です。
昼夜織りによる、「森と空」をイメージした作品で、左、正面、右、どの方向から見ても、印象が違うのです。

昼夜織りのタペストリー・左から 昼夜織りのタペストリー・右から

この作品の織り地作りにも、デザインにも、瀬崎さんは試行錯誤を繰り返されたそうで。
試作された織り地を生かした小品も、ありました。

昼夜織りの小品

これ、ほんの20cm四方くらいの作品なんです。
これが、壁一面をおおう壁画みたいな作品と、同じ織り時から出来ているなんて、信じられます?
その発想力と、センスは、芸術家です。
織りって、どこか「職人」のイメージがありますけど、それがつきぬけると「芸術家」になるんですね。

瀬崎さんの作品は、小さな額に納められたものもありましたけど、大きい作品が多かったです。
じゃあダイナミックな印象なの?っていうと、違うんですね。
どれも繊細で、緻密で、こまやかなうつくしさがあふれんばかりっていうか…。

これは、麻で織られた大きなタペストリーです。
その模様の精緻なこと!
一つ一つの柄が、きちんと同じサイズになるように、確認しながら織ったんですって。
見入ってしまいます…。

麻のタペストリー  麻のタペストリー 

本当に、ドレスの生地みたいですよね?
素材が麻だからタペストリーにしたのよっておっしゃってました。
でも、シルクで同じものを織ったら、ウエディングドレスにいいよね、なんて。
もう、どれを見てもため息が出ました。

でもこれだけじゃないんですよ。
まだまだ、作品は続きます。

ありえないくらい、みみがきれいにそろった、巨大なリップスマット(6枚綜絖6本踏み木)は、もう圧巻。

大きなリップスマット2枚

精緻なリップス織り 1枚拡大☆

今、自分がリップスに取り組んでいるから、そのすごさがいっそう身に迫るといいますか…。
もう、己の作品との格の違いを思い知って、凹むどころではありませんでした↓。
自分の作品を思い出したら、恥ずかしくって恥ずかしくって、穴があったら入りたい心境でした(涙)。


そして、スウェーデンの織りといえば定番中の定番、ムンカベルデ。
まるで、お花畑みたいじゃありませんか!!

うつくしいムンカベルデ

ムンカベルデって、裏面を見ながら織るんですって。
そして、上の作品を織っている時、瀬崎さんは、雪の結晶のように見えたんですって。
「裏を、表にしても、いいんじゃないかしら…?」
その発想から生まれたのが、こちらの作品です。

降る雪…

空いっぱいの雪雲。
雲の中から、はらはらと舞い落ちる雪の結晶。
蒼い夜の闇の中で、雪の結晶はきらめいて、そして静かに積もっていく…。
遠い遠い北の国の、冬の1シーンを切り取ったかのような、タペストリーです。


一枚の織り物の中に、静かに眠る物語があることを知り、なんだか胸が熱くなってしまって…。
しばらく、作品の前から動けませんでした。
ここには、文学がありました。


この作品を作るためには、技術面でも様々の工夫をされたそうです。
「裏を表にすること」
それは、隠している面を見せてしまうことです。
きれいな部分ばかりではなくて、余分な緯糸がわたっていたりもします。
普通のやり方では、イメージ通りのものは、作れない…って、なっちゃいますよね。


それならば、裏を、本物の「表」にしてみせましょう、と。
きっと、試行錯誤を重ねて。
ありえないくらいの時間と、手間をかけて、完成させたのでしょう。
雪の結晶が、ぱらぱらっとした部分を織るためには、なんと一度に10本のシャトルを使われたとうかがいました。
そこには、職人の魂というか、心意気があったのだと思います。
そして完成したものは、文学の心を持つ芸術。


もう、言葉では言い尽くせない、深い深いものを感じさせていただいたひとときでした。
今の私では手の届かない、もう富士山を超えて、エベレストのさらに上の世界です。
芸術としての織り物。
こちらで紹介できなかったものも、まだございます。
ぜひみなさま、一度その目でご覧になってください。
3月29日まで、パラミタミュージアムで出会えます。





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コメント

すごい。
瀬崎さんという方の作りだす世界に感動してしまいました。
すてきなものを紹介してくださって、ありがとうございました。

Re: kauriさん

kauriさん、ありがとうございます。
瀬崎さんに、kauriさんの作品とともにお伝えしたいです。
私も、「創作」ってこういうことなんだと、新しい世界を見た思いでした。
kauriさんに伝わって、共感できて、とてもとてもうれしいです。

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じぇんね

Author:じぇんね
織りや紡ぎ、草木染、時々は編み物なんかもしながら、ちまちまっとした暮らしを楽しんでいます。

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